石鳥谷熊野神社祭典山車2023
※南部流風流山車の『毛剃』(同組平成18年作含) ちゃんと船に乗っている毛剃である。つまり、従来無いはずの位置に人形が居る。その面白さを引き立てるすべてが盆上に盛られ、船が奥側(観客には見えない側)にも波・飛沫を伴ったのはその一端である。鉞は低く構えられ、その刃先は鬱々たる世相を切り祓うように見えた。 石鳥谷の山車人形は費用でなく工夫と手間で華やかさを出しているのが見所・矜持と長年思っていて、今回はこの一台にそれが一番出ていた。先行作では黒どてらの矢の根(平成12年盛岡わ組)に一番近く、顔がちゃんと怖いのが良い。 定番の型ながら安定と変化が両立していて、非常に見やすい。松明の灯の量感、背景の滝の暴れ具合が良い。 平成20年代の頭にいったん出た趣向で、鬼に土蜘蛛の顔を使うなど以降の蓄積を活かして再作された。首筋の痩せた感じが少々過剰で、写真のように馬・武者・鬼が全部綺麗に見える時間が少なく浸りにくくはあったが、豪勢で楽しい山車であった。綱が中央線を外れ振り向きでもしていると、上手く三者がつながったように思える。 ※南部流風流山車の『義経弓流し(義経屋島の戦)』 表裏とも平成30年の趣向の焼き直し、3日間とも雨でまともに披露できなかった年の山車である。かなり攻めた構図の弓流しは再作にあたって良い意味で丸くなり、それでも片手や馬の鼻が山車の最上部に至っている等見応えは残った。顔が見えにくい角度があるのも却って良い。ただ、飛び交う矢が無いため武勇の場面には見えない。
かざす鉞 渦巻く海の その先見据え 綱を絶つ
(見返し)傘に淡雪 積もるや想い 消えて儚き 恋路とや
(所 感)
盛岡山車の見返しとしての鷺娘はこれで完成を見た感、傘の向こう側が朧げに透けて見えるのも格好良かった。
誓い果たすを ゆめみる勇者 磨くは己と 矢の根なり
(見返し)蝶と鶴とが いざ舞い降りる あだ花ひとつ 富士の裾
(所 感)
上記の趣は見返しにより濃く出て、隣の組の得意演題を全く違う工夫でちゃんと華やかに見せた。素襖を纏う形の良さ、鶴の紋を銀紙の切り貼りにした創意が素晴らしい。
(所 感)
手拭いの絵も、従来に無いような面白い描き方であった。
目出度めでたで 引き出す山車は その名も高き 羅生門
羅生門に 高札立てて 鬼神に挑む 綱の意地
(所 感)
見返しの鬼女の顔は、前より存在感が増した。高さは、もっとナチュラルに増したい。
屋島の波間に 漂う弓を 掬い拾いて 名を残し
(見返し)江戸は吉原 気品も高く 薫る廓の 道しるべ
※平成30年石鳥谷まつり
(所 感)
夜は花北青雲高校の通りを歩く姿を見に行き、昔、本宮の夕闇で見た『義経疾走』を思い出した。見返しの音頭をここでちゃんと聞け、歌詞の誤解を解けた。
写真・文責:山屋賢一(やまや けんいち)/連絡先:sutekinaomaturi@outlook.com
岩手県花巻市石鳥谷町好地 令和5年9月8日(金)・同9日(土)・同10日(日)
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