熊野神社例大祭石鳥谷まつり2018


 3日とも雨天のため、雨避け無しの姿が5台中1台しか見られない異例の年となった。

 



義経弓流し / おいらん道中 上和町組

岩手県花巻市石鳥谷町熊野神社祭典

屋島の波間に 漂う弓を 掬い拾いて 名を残し
(見返し)江戸は吉原 気位高く 薫る廓の 道鎮め

※南部流風流山車の『義経弓流し』

 
岩手県花巻市石鳥谷町熊野神社祭典

 伝統的な弓流しの構図をシンプルに選り抜き、船や敵方の船を省いて手で拾う形とした。
 まるで武者絵が立体になって迫ってきたような、大迫力の一台であった。ダントツで大きく見えた山車である。物語の描写という点では、やや絞込みが過ぎた観はある。
 見返しの花魁は表情・姿勢が素晴らしく、従来に増して立体を意識した配置であった。本当は遠望して美しい角度があったので、雨除けが惜しい。





景 清 / 阿古屋 中 組

岩手県花巻市石鳥谷町熊野神社祭典

平家の怨みか 男の性(さが)か 景清意地の 牢破り
(見返し)哀れ琴の音(ね) まことの調べ 恋路に月の かげ清し

※南部流風流山車の『景清』(町内同構図作−昭和61年−含)

 
昼夜で一変する色味岩手県花巻市石鳥谷町熊野神社祭典

 同組では平成14年以来の採題、格子を抱えて六方を踏む型は昭和の末に同町に登場した構図である。
 顔がいかめしいのが良く、構図に伸びが無いのが惜しかった。
 出るべきなのにまったく出てこなかった阿古屋(景清の妻・女形の大役)を見返しに採ったセンスは脱帽、演出としてはもっと量感が必要だけれど。





和藤内 / 舞妓さん 西 組

岩手県花巻市石鳥谷町熊野神社祭典



※南部流風流山車の『和藤内』

 
岩手県花巻市石鳥谷町熊野神社祭典岩手県花巻市石鳥谷町熊野神社祭典

 非常に端正な良い顔の人形であり、バランスも良く、松明も目立つような掲げ方であった。
 舞妓さんの見返しは平成10年に盛岡で試みられたが、今回の作はよりわかりやすく、小物なども上手に使った可愛らしい演出である。


(参考)八戸三社大祭付祭における同趣向の表現(青森県八戸市 平成30年)

青森県八戸市三社大祭の「付祭」







碇兼光 / 八重垣姫 上若連

岩手県花巻市石鳥谷町熊野神社祭典

(あるじ)のあだを 討たんと樋口 物見の松で 時を知り
勇猛無双の もののふ樋口 気高き忠義が 世に傳う

※南部流風流山車の『巴御前』関連演題−含 樋口次郎兼光−

※南部流風流山車の『川中島』関連演題−含 八重垣姫−


岩手県花巻市石鳥谷町熊野神社祭典岩手県花巻市石鳥谷町熊野神社祭典

 江戸時代に書かれた芝居脚本「ひらかな盛衰記」の有名な『逆櫓(さかろ)』という場面の山車。木曽義仲の四天王と呼ばれた武将 樋口兼光(ひぐち かねみつ)が「船頭の松右衛門」となって機をうかがい主の仇の源義経を殺そうとするが、義経方に察知され捕まってしまう。山車は義経方に与した何十人もの船頭・水夫らに樋口が一人で立ち向かい、武具が無いため大きな碇を投げつけて応戦している姿。
 昭和50年代以来出てきていない珍しい題の復刻であるが、娯楽として見るには難しい部分が多かった。投げた形になりきっておらず綱の演出がわかりづらいのと、船と碇がともに舞台の下方に在るのが良くない。





鳥居前の忠信 / 初音の鼓 下 組

岩手県花巻市石鳥谷町熊野神社祭典

鼓かざして 勇まし姿 敵を蹴散らす 源九郎
狐の忠信 静を守る 親を慕いて 鳥居前

※南部流風流山車の『源九郎狐』

 

 最後までビニール越しのみの見物となってしまったが、頭は髪も化粧も良く出来ていて立派であり、着物の配色もわかりやすい華やかさなのがわかる。
 体というか構図というか、全体的に縦に伸びがちなのが残念。


(参考)同市土沢で出た同題材『義経千本桜』の山車(駅上組 平成30年)

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※各組歴代作例




写真・文責:山屋賢一(やまや けんいち)/連絡先:sutekinaomaturi@outlook.com

岩手県花巻市石鳥谷町好地 平成30年9月8日(土)・9月10日(月)
/青森県八戸市 同7月31日・岩手県花巻市東和町 同9月16日

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