青森県三戸郡南部町(旧名川町) 剣吉諏訪神社大祭 9月8・9・10日

青森県南部町 名川秋祭り

 

 

 青森県南部の三戸郡名川町(当時:現在は南部町)は南部手踊り発祥の地として郷土芸能、特にも民謡手踊り「南部七唄」が大変盛んです。9月8日から3日間にわたって行われる剣吉(けんよし)諏訪神社のお祭りにはこの南部手踊りを乗せて運行する飾り山が5台登場し、町内を練り歩きます。

花咲か爺さんの見返し

 2段欄干型の山車でも、特に下の部分、人が乗る部分に重点をおいた山車です。表の部分の装飾は、実際のところ屋根の上を装飾する程度となっており、等身大かむしろそれより小さく作ってあるのが普通です。その代わりに見返しが山車の背面を広く覆っており、表部分をはるかに凌駕している印象がありました。他の青森南部の山車行事と同様、名川の山車にも審査制度が導入されていますが、筆者の眼から見て、屋根の上の表人形よりも見返し装飾のほうが、評価のウェイトが大きいような気がしました。人形の材質ですが、八戸や三戸で多用される山車用マネキンのほか、普通のマネキンも使われていて、手作り色が非常に強いです。色使いは華やか、細かい部分を見ていくと思いがけない工夫がいくつも凝らされているようでした。

 町内を門付け運行する際は、「他の町に入ったらお囃子を演奏しない」のが礼儀だそうで、静かに山車を引いて定位置につき、約10曲ほど手踊りを披露します。演舞を始める前に必ず「○○様のご提供で…」とスポンサーを紹介していました。山車が運行しない時間帯は、三味線や鼓を門付け先に持ち込み、仮のセットを造っての手踊り公演。ものすごく大げさな門付けだなあと感心しました。生の音源に生の謡、間近で見るプロの民謡手踊りは、普通一般に見られる婦人会なんちゃらとは全く趣の違う魅力を発信してくれます。

平知盛の怨霊

 お神輿のお通りには杵舞・虎舞・太神楽・獅子踊り・商宮律・願人踊りなど実に多彩な郷土芸能が随行します。お通りの間はお囃子を囃すだけで踊ったりしませんが、お旅所となる名川芸能伝承館に到着すると、祠に踊りを奉納し、周辺をバラバラに門付けします。夕方から夜にかけて、町内各所でこれら芸能の門付けが見られるようです。神輿が動かない中日はこれらの芸能は登場しませんが、地元小学生による駒踊りが披露されていました。

 3日間、夜は10時頃まで、手踊りと山車、町いっぱいに軒を連ねる的屋で盛り上がるようです。 (平成14・16年見物)

アクセス:IGR青い森鉄道線「剣吉駅」



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