仙台祭系(仮)の山車行事
岩手県央部 1・2・3
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鳥谷ヶ崎神社・花巻神社(花巻まつり)
もとは9月17日から3日間の開催だったが、現在は9月第2週末に3日間行われている。町内手作りの風流山車が例年12基前後参加し、岩手有数の集客を見せる山車祭りである。 (JR 鏑八幡神社(土沢まつり) 9月第3週末に2日間開催される、旧東和町土沢の秋祭り。駅上組・中下組・鏑町の山車3台はいずれも盛岡型に近い大人形を使うが、飾り方・運行作法は花巻周辺に近い。造花は桜・牡丹・菊・菖蒲など花巻と共通、松は半分ないし全部が生木ではなく作りものである。裸電球を竹の軸につけて花巻のガスバーナー同様に飾り、独特の優美な夜間電飾を行っている。囃子は山車に乗らず歩きながら演奏、大太鼓は背面に備えられ、小太鼓は先行する屋台に乗せたものを稚児姿の少女が叩く。歌を歌い、撥を回したりしながら叩くのが特徴である。囃子は「しんばやし」「おかざき」「にへんがえし」「けんばやし」の4曲あり、進行中に絶えず曲を変える(場面に応じて、ではおそらくない)。山車同志がすれ違うときは双方しばらく動かず、お互いに声を荒げて囃子を競う(山車のかけあい:各日19時開始)。 (平成15年より見物) (JR 天満宮(北笹間火防祭)
毎年3月25日に開催される北笹間(旧和賀郡)の火防祭で、林崎班・上組・堰六組・千刈班・下野班・内野組から計6台の山車(ヤマ)が出る(組称は「班」と「組」が混在)。山車は祭典当日の早朝に各公民館で組み上げられ、午前9時前には天満宮前に並び、神輿・大乗神楽とともに夕方4時頃まで合同で運行する。かつては各地区の総代宅を回ったが、現在は各公民館にて接待を受ける。参集・解散時の他に山車が個別に動くことは無い。 (平成27年見物) ( |
岩手県央部 4・5・6
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秋葉神社(二子)
旧暦2月8日に開催される二子(ふたご)の火防祭に、万代講(上宿)・代々講(和小路)・秋葉講(下宿)の3台の山車が運行する。現在の春分の日周辺の土曜日に開催され、山車は午前10時ころ出発・神輿行列に随行し日中いっぱい運行する。トラックを木枠で囲って背面に人形飾りを作り、進行方向には張子作りの秋葉山を飾る。人形はマネキンや手作りのものが主で、「風流〜の躰」と題がつく。桜は玉桜以外にいくつかの手法で作られたものを併用している。囃子は花巻まつりに使われる「吉原ばやし」の原型で、二子から花巻に伝えたとされる。辻で数種の手踊りが披露される。 (JR 江釣子神社
長らく4月3日の祭事であったが、現在は4月の第1日曜に開催されている。山車は9時過ぎに神事を終えて出発し、町内を日中いっぱい運行する。毎年江釣子駅前の第5区が大河ドラマの山車を出しているほか、第3区宿組・七区組など何年かに一度出す地区もある。複数台の運行があっても、山車を一堂に会す場面は無いようである。いずれもマネキン人形の着色か発泡スチロールを削るなどした手作りの山車であり、玉桜や紙製の切花を飾り、幅の狭い立岩で山車を前後に区切って表裏に趣向を作っている。演題には「風流」が先行し、「の躰」と締めくくられる。囃子は稚児姿で山車の前の部分に乗り込み、手押し車は先行しない。曲は二子や黒沢尻と同じ「吉原」「わか囃子(帰り囃子)」である。余芸はいくつかあるが、太神楽のはやし舞が入るのが当地の特色といえる。 (JR 秋葉神社(黒沢尻)
黒沢尻の火防祭は4月第4週末(日高火防祭と重なる場合は前の週)の開催で、毎年おおむね2〜3台の人形山車が出ている。毎年出すのは7区と12区、3区は不定期、6区は2年休んで3年ごとに出す。12区のみ盛岡の借り上げで、3区・7区・6区は自前の山車である。着物姿の三味線や稚児姿の小太鼓が乗り、小太鼓を乗せた手押し車が先行し、大太鼓は背面に据えられ大人が歩きながら叩く。囃子は「吉原ばやし」と「帰りばやし」で、神社や商店の前では山車を止めて余興を見せる。神社の火防祈祷印をついた白黒刷りの山車の絵を祝儀返しに配り、店先に貼り出される。
(JR |
岩手県南部(東磐井郡) 1・2
一関の山車(岩手県) |
千厩夏祭りの山車
7月最終土曜日に行われる旧千厩町の夏祭りに登場する山車。花巻等から人形を借りて作っている山車もあるが、全て自前で仕立てているものもある。新町の山車は等身大の木の人形を使い装飾は紙製の造花が多く、気仙地域の山車の作法に通ずる部分があるが、題に「風流」「躰」はつかない。囃子は千厩の盆踊りを放送で流し、これに合わせて太鼓を叩く。夜間の運行なので、照明が伴われる。
(平成16・26年見物) ※ JR 室根大祭の袰祭り
閏年の翌年に行われる「室根神社特別大祭」にて、最終日に仮宮巡り・折壁町内行進を行う6台の山車で、当地では「袰(ほろ)祭り」と呼ぶ。ゴムタイヤ2輪の簡単な台車の上に岩場を組み、中央にご神体を安置する館を建てて表裏に人形を飾る。表を「前風流」・背面を「送り風流」と呼び、前風流には幟を背に十字に背負った騎馬武者の趣向が多い。牡丹は紙製の「曲録の花」を使い、色とりどりのものを両脇に各7個付ける。人形の足元には垣根を作り、菊の花を飾る。「お殿様」と呼ばれる裃を着た子どもに馬に乗せ、山車に先行させる。囃子は付かず、曳き子が「わっしょいわっしょい」と掛け声をかけて山車を揺らしたり、回転させたりするだけである。室根では奉仕者の名を明確にして個人の出資で山車を出すことが多く、共同出資の場合は「寄内(よない)」と呼ばれる。祭典関係者が山車に等級をつけ、一番上等なものが行列最後尾、次に上等なものは行列の先頭に配されるという。 (平成17年見物) (参考) 開催日:旧暦の9月17日から3日間、近年は10月第3金土日 時間帯:最終日(日曜)朝8時仮宮三巡・9時町内・10時半解散 最寄駅:JRドラゴンレール大船渡線 |
岩手県南沿岸 1
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5年に1回開催される二社合同式年大祭に登場する山車4台。館山車といって、台車の舞台の中央にご神体を安置した「やかた」を立て、前後に人形飾り・左右に岩や紙製の造花や波しぶきなどを飾った山車である。やかたを著しく背高に作り、電線をよけるときはこれを後方に倒すが、この時はご神体も一緒に倒れる。人形飾りは正面から見るよりも斜めから眺めたほうが見栄えがするように作られているようで、見返し人形も背面の中心ではなく左端右端に寄って横向きに目線を設定している。表の趣向は騎馬武者ものが多く、馬は必ず草鞋を履いている。花は全て和紙作りで、岩場に差し込んである菊・藤、色とりどりの紙牡丹(水沢や広渕で見られるものに似ている)、数種の製法による桜などのほか、団体によっては椿が添えられることもある。水しぶきは竹串を水色に塗って、先に紙を巻いたものである。囃子は当地の虎舞・権現様に使われる曲と同じで、背面に据えられた太鼓ひとつをたたき、笛を添える。平成に入ってからは2・7・12・17年に開催されている。 (参考) 開催日:10月第3週末 山車組:大町組・荒町組・和野組・森前大石鳴石馬場組 最寄駅:JRドラゴンレール大船渡線 |
岩手県南沿岸 2
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岩手県指定無形民俗文化財の盛町五年祭(天照御祖神社式年大祭 4年に1回)に、「館山車」と俗称される風流山車が2台登場する。電線を避けるために山車の中央に立った館を後ろに倒す仕掛けがあり、館を立てると高さは10メートルほどになる。館は柱にくくった綱や竹竿などを使って手動で倒す。山車人形は表裏に配し、ともに「風流」を冠す。騎馬武者ものがよく採り上げられ、馬にも草鞋を履かせる作法があるようだ。どの人形も支えの柱がまったく見えないように付いており、館の中の束帯姿の神像と柄杓をささげた女性の像は演題に関わらず必ず飾られる。このほかに和紙で作った牡丹(曲録の花)・桜(玉桜ではない)・菊・藤などを伴い、特に牡丹は古風にダイナミックに枝付けされ、藤は幹を伴って一番下に飾られる。囃子は太鼓2つと笛で奏で、木町組は歩いて叩くが、下町組は山車に乗って叩く。宮城県北部のリズミカルな山車囃子とは似ておらず、陸前高田の七夕囃子に近い。 (平成18・30年見物) |
岩手県南沿岸 3
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5月4日に開催される世田米(せたまい)の式年大祭(3年に1回)に登場する山車のうち、仲町組の山車のみが騎馬武者の人形などを乗せた風流山車で、神像を納めた館を中央に頂き、背面に「見返り」を備えたものである。造りは陸前高田市高田町の館山車に近いが、高さは4メートル前後に調整されていて折り曲げの仕掛けは無い。大船渡地方の権現様の入り拍子に似た曲と、陸前高田のけんか七夕太鼓に似た曲の2曲の囃子があり、笛と山車後方を歩く大太鼓2基で奏でる。囃子とは無関係に「よいよい」という掛け声で山車を引く。平成10年は『関ヶ原の戦い/八重垣姫』、平成16年は『桶狭間の戦い』、平成19年は『源平の戦い(写真)/藤娘と八重垣姫』の山車が出た。 |
宮城県北部 1
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毎年4月第3日曜に開催される「河南町広渕鹿嶋ばやし」の山車で、全部で3台出る。明治期以来の優美な風貌の山車人形で、大型の山車は中央に館を据えて前後に人形を飾る。中型の山車は表面のみに人形を飾り、背面は造花や岩場のみである。山車の四方に盛り上がった張子の岩を、彩色によって滝や海に塗り分ける。桜は枝垂桜と立桜をそれぞれ奔放に飾り、側面には紙の牡丹、装飾間のスキマには「あらかくし」として紙菖蒲などを飾る。休憩所ではあらかくしの造花を引き抜き、まつり囃子にあわせ「はねこ踊り」を踊る。 (平成16・17年見物) (JR JR気仙沼線「前谷地」(石巻線でも通る駅です) |
宮城県北部 2
登米市(宮城県) 登米神社 |
毎年9月第3土日開催の「とよま秋祭り」の山車で、約20基登場する。粘土で作った素朴な人形を表裏に飾った山車である。 (平成16年見物) (JR JR気仙沼線「柳津」(ここからバス接続) |
宮城県北部 3
栗原市 (宮城県) |
7月最終週末に開催される「くりこま山車まつり」に10基程度登場する。岩ヶ崎に古くからあった山車行事をイベントとして取り上げたものであるが、神輿行列などの祭事は見られない。進行方向に対し横向きに飾りを作る新庄流(山形県新庄市)の風流山車で、かつては背の高い担ぎ山であったという。囃子は山車の後方につながれた台車の上で演奏され、新庄の囃子にも似ているし、広渕の鹿嶋ばやしにも似ている。木彫りの人形は少なく、青森県南でよく見る菊人形風のゴム製人形が多い。一部を電動の仕掛けで動かす工夫がよく見られる。宵祭りでは山車の一部(3台程度)が夜間のみ運行、本祭りでは昼過ぎに全ての山車が連動して町内を巡行する。 (平成16・17年見物) |
宮城県仙台市
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仙台青葉祭り
毎年5月第3週末に開催。大河ドラマ「独眼竜政宗」によって脚光を浴びた仙台近世史にちなみ、藩政期の仙台祭りを復活しようと企画された。市内の企業が「山鉾」を運行しているが、大黒さま・三春張子風の鯛・巨大シシマイ・宝船などすべて永久保存版プレハブの山車で、人形山車の面影は全く無い。宵祭りでは市内アーケードにすべての山鉾が展示され、一部を試乗体験用に開放する。翌日の本祭りでは正午から午後2時過ぎにかけて武者行列などとともに市内をパレードする。祭りの見所の「すずめ踊り」のお囃子は宮城県北の山車囃子と共通する部分が多く、もしかすると音楽的には往時の姿に多少なりとも近いのかもしれない。 (平成15・17・18年見物) ※東北六魂祭レポート(平成23年7月16日) |
吉原(よしわら)ばやしは現在の北上市二子地方で発祥したものといわれ、一般には花巻祭りの山車囃子としてよく知られている。石鳥谷以北のアップテンポなお囃子と比べ優雅で穏やかなので、「京風」「祇園調」といわれる。 北上市内の火防祭で聞かれる吉原ばやしはリズムが緩やかで、山車が自分の町内に帰るときには、これとは別に「帰りばやし」という曲を演奏する。花巻祭りの吉原ばやしは北上のものよりリズムが早く、旋律がよりはっきりしている。花巻の場合は「帰りばやし」は無く、山車が休止している時に「裏ばやし」をはやす(吉原ばやしは「表ばやし」である)。 風流山車以外では、江刺甚句まつりで運行される町内屋台が吉原ばやしを使っている。六日町銭町組の「祇園ばやし」は花巻とほぼ同じで、南大通組の「風流秋葉ばやし」はリズム緩やかな北上市内の雰囲気に近い。また、遠野の南部ばやしの冒頭部分が、北上市内の「帰りばやし」と非常によく似ている(遠野には「吉原ばやし」は見られない)。 稗貫・和賀地方の山車行事について囃子の面から分類するなら、石鳥谷は盛岡風であり、花巻含め北上諸地域(二子・江釣子・黒沢尻)と東和町は花巻風である。しかしながら、東和町土沢祭りの山車ばやしは吉原ばやしとは全く似ていない。 吉原ばやしは笛・大太鼓・小太鼓・三味線で演奏する。小太鼓は、稚児姿の少女により演奏される例が多い。小太鼓を手押し車に並べて乗せ、これを山車の前に先行させ少女たちは歩いて叩く。山車に小太鼓のたたき手が全く乗り込まないのは花巻と土沢で、北上の山車には前の部分に小太鼓が乗る席がある。叩く時に撥を左右に大きく振ったり、飾り打ちを行うのも共通した特徴である。大太鼓は見返し人形の下に並べられ歩いて叩く。 盛岡地域から二戸地域にかけて、山車ばやしは一般にアップテンポである。花巻以南では一転して穏やかなリズムとなる。岩手では、両者を併用する例は無い。青森県三戸地方で三味線の入る優雅な囃子をお通りなど往路ではやし、自町内に帰る際にアップテンポな囃子に切り替える例があるのは、上記から考えて非常に興味深い。宮城県北部でも緩急両方の囃子を伝える山車行事がわずかながら伝わっており、岩手においては盛岡と花巻で「囃子の住み分け」が行われたのではないか、とも思われる。
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