主なネブタ行事一覧(開催日順)
-北東北の諸灯篭祭りを含む-
木造のねぷた 7月最終木・金・土曜日 青森県つがる市 |
ねぶたは3日間とも夜間の運行で、日中運行は無い。見物時は9団体中7団体が人形ねぶたであり、一体の趣向が多く背面は送り絵形式が主流、青森のような立体的なモチーフも若干は見られた。よく聞かれる囃子は4種類で、青森・弘前と同じ曲もあり、特定の団体だけが使う囃子もある。台車の左右に小太鼓を乗せ、これをたたきながらねぶたを運行する形が2例残る。合同運行を終えると辻でねぶた同士が向かい合い、「喧嘩ばやし」をはやして跳ね回る。掛け声は「やーれやれ、やれや」。
「馬市まつり」に出る木造の馬ねぶたは昼だけ動くらしく、山車は小さめで丈も低く、台車の高さはほとんど無い。等身大に近い馬のねぶたを作り、色は割りと自由に塗って支えは紙花で隠す。パレードではぐるぐる回ったりサッと観客の間に入ったり、小回りの効く馬ねぶたならではの演出を見せる。先行する囃子は他の地方と違う独特のものだったが、戻りは木造ねぶたの「喧嘩ばやし」であった。 |
黒石のねぷた 7/30〜8/5 |
扇ねぶたと組ねぶた(人形)が古くから並存してきたが、近年後者は数える程しか出なくなった。運行台数は一時90台に及び、出陣数津軽随一といわれた。 |
大鰐のねぷた 8/1・3 |
大鰐サマーフェスティバル中の一行事として8月初旬の1週間開催され、うち合同運行は1日と3日、いずれも夜7時半に駅前(JR大鰐温泉駅・弘南鉄道大鰐駅)を発する。実際に訪ねた最終日の7日は午前中の自由運行で、6基(唐牛・蔵舘五町内・蔵舘愛好会・十町内・一町内・八町内)を駅前で見物できた。 |
弘前のねぷた 8/1〜8/7 |
「火扇」とよばれる扇形のねぶたが主流で、現在は大小約70〜80基が登場している。大型のものは高覧や扇の上部に伸縮の仕掛けを備え、全開するとかなり大きく背高になり、電線除けでなく、盛り上げ演出として開閉することも多い(一方で、大きいねぶたは地元町内を正面向きで運行出来ない)。人形灯籠の組ねぶたは5基程度・背面は絵で高覧に乗り、こちらにも伸縮する背高なものがあるが、絵柄・作風はおおむね青森より素朴である。 |
青森のねぶた 8/2〜8/7 |
俗に「東ねぶたに西阿波踊り」といわれ、ねぶた行事各種のうち格段に観光化が進んだ例である。2日から6日までは夕方5時半から移動が始まり(移送時は無音・無灯)、夜7時頃から環状の合同運行が始まる。必ずしもすべてのねぶたが毎晩出てくるわけではなく、日程の前半では各町内からのねぶたも参加する。最終日7日は午後1時から日中運行があり、夜は船の上に賞を取ったねぶたを乗せて海上運行を行う。 |
平賀のねぷた 8/1〜8/7 |
2日・3日に行われるねぶたの合同運行をメインとした、平賀夏まつり(現 平川夏祭り)中の一行事。町村合併後は尾上・碇ケ関などからも団体が加わり、参加台数は20数台から30台余に増えた。引き綱の付いた扇ねぶたが主流であり、創作の手踊りをねぶたに先行させるのが特色であるが、全ての参加団体が付けるわけではない。半数超のねぶたが弘前の拍子・掛け声をリズムアップした独特の威勢の良い囃子を使っており、尾上や大鰐にも同様の例が見られる。最後尾に、肌の他はモノトーンで仕上げた「世界最大の扇ねぶた」が出る。 |
田舎館のねぷた 8/4 |
合同運行は4日の夜7時15分からで、ねぶた運行期間自体はこの前後に3日ずつ設けられている。 |
尾上のねぷた 8/5 |
毎年8月5日の18:45からの合同運行には、町内会を主として9組が参加する。うち人形ねぶたは2基で、常に左右に振りながら引く金谷・一部を点滅させる鵬友会…と個性がある。扇ねぶたには猿賀や南田中・鵬友会など9メートルに及ぶ大型のものも入る。組印や前ねぶた・太鼓車に至るまで各々に工夫があり、たとえばメインの扇ねぶたの趣向を頭だけ・手だけの人形ねぶたにし、これを前ねぶたにしてそれぞれで動いて再現などしていた(写真)。囃子・掛け声はおおむね弘前流だが、ヤーレヤレヤとかける組もある。合同運行では、本部前の演技を終えると囃子がリズムアップし「平賀流」に変える町がいくつかある。行列先頭で法螺貝を吹く町もいくつか見られる。
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藤崎のねぷた 8/3・5 |
3日は常磐(JR北常盤駅最寄)・5日は藤崎(JR藤崎駅最寄)で合同運行がある。いずれも夜7時半発、前者が審査・後者が表彰。私は後者について8時半過ぎから1時間程度、10基程を見た。型は弘前と同じ扇ねぶたで囃子も同様、掛け声だけラーシラシ、ラーシラと独特である(ラーセラセかも、節は黒石・鶴田風)。他の日は個別で動く。 |
大湊のねぶた 8月第一金・土・日曜日 |
トラック台車の上に回転式の人形ねぶたを乗せたもので、作品ごとにねぶたの表情に著しい個性があり、大平町であれば歌舞伎、といったように得意演目を持つ町内も多い。背面に送り絵を描く風習は定着しておらず団体ごとにさまざまな工夫を凝らしているが、青森のように人物を背面に組むケースは少ない。囃子も津軽とは雰囲気の違う素朴なもので、掛け声も見られない。運行時には録音源による手踊りが先行し、小型の前ねぶたがスピーカーの役割を兼ねる。合同運行は土曜日曜の夜で、相互でコースは異なる。 |
立ちねぷた 8/4〜8/8 |
期間中は夜7時から15基程度のねぶたが市街を運行する。扇ねぶたは無く、全て高覧を持つ人形ねぶたで引き綱が付き、囃子はねぶたの先を歩く。高覧を多用し縦長の構図に作った当地ならではの「立ちねぶた」が半数を占め、地元の高校なども出している。市製作の立ちねぶたは高さ22メートルの威容、題材はメッセージ性を考慮した独特の決め方をされ、1年がかりで作って3年間若干の手直しを加えながら祭りに出す。 |
鶴田のねぶた 8/14〜8/16 |
お盆の8月14日から16日にかけて開催される「つるたまつり」の呼び物として、ねぶた合同運行が行われている。もっとも開催時期の遅いねぶた行事のひとつで、出場は役場・子ども会・鶴田高校・仲町など4〜5基、いずれも人形ねぶたである。お囃子は仲町を除いて青森ねぶたの囃子、仲町だけ弘前風の囃子をリズムアップしたもので、合同運行後は鯵ヶ沢や木造・五所川原など周辺地域のお囃子をランダムに上演していた。「ガガシコガン」は五所川原の囃子に似ているが、少し単純になっている。14日は夜の運行、15日は午前中の運行。 |
板柳のねぷた 8/8〜8/10 |
8日から3日間行われる「りんご灯まつり」でねぶたを出す。扇ねぶたも人形ねぶたも出て数台の規模(私自身は電車の窓から、駅前を進む扇ねぶた数基を見た)。日中は津軽獅子踊りなどが出る。(平成25年確認)
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能代の七夕(ネブナガシ) 8/6 |
人物ではなく建物を模したねぶたで、当地では灯篭と呼ぶ。大まかには各団体とも同じ形で、近世城郭の天守閣を思わせる意匠である。最上部には極端に強調されたしゃちほこが上がり、電線の下を通るときにはこれを折り曲げて高さを調整する。しゃちほこの周辺に小型の城郭をいくつも作り、下部にはさまざまな模様で高覧を何段も重ねている。側面背面の3段のスペースに横長の武者絵を描いたものもある。曳き子や囃子方がみな諸肌脱ぎのさらし姿で、太鼓は締め太鼓の綱に襷を通し、3人一組で吊り下げながら片手でたたく。下部に編み笠のついた赤いアンドンを持った子供たち、太鼓、さらし姿の上に腹掛けや半纏を着た女の子の笛吹き、曳き子はそのさらに後に続く。ネブナガシが動くときには「よーいとこ、よーいどっこいな」という音頭上げがあり、運行中は「ちょーれー、ちょーれー、ちょろれろれ」と掛け声をかける。メインストリートの運行は夜7時から10時半ごろまで。 (平成17年見物) |
大迫のあんどん山車 |
(盆祭り「通称あんどんまつり」) |
上桧木内の紙風船 |
(西木の冬祭り「上桧木内紙風船上げ」) (平成30年見物) |
津軽藩領の山車 青森県弘前市・鯵ヶ沢町ほか |
旧津軽藩領の人形山車行事は、ねぶたに意匠を引き継いだこともあってほとんど衰退した。 |
ねぶた(佞武多)は青森県津軽・下北地方の夏祭りに伴われる、中国史や武者絵・仏画などを採り上げた大灯籠の総称。場所によって「ねぶた」と呼んだり「ねぷた」と呼んだりする(人形がねぶた・扇がねぷたというのは間違い/当項ではいずれも「ねぶた」とし表題のみ当地の呼び方を反映した)。七夕行事に由来し、ねぶりすなわち眠気を払う行事で、本来は市街を練った後に川に流す。
針金で骨を組み立体的な意匠を表現する人形ねぶた(組みねぶた)は青森市を中心に浅虫・大湊・木造・黒石・深浦などに見られ、特に五所川原では縦に長い「立ちねぶた」を工夫している(横幅は青森ねぶたが最大)。高覧を伴うものと伴わないものがあり、例えば黒石や弘前の組みねぶたは前者、青森や大湊のねぶたは後者である。意匠は青森ねぶたを真似たものと扇ねぶたの延長線上で描かれたものに大別されるが、製作者によっても変わり、一定流派の作風継承も少なくない。背面には正面と同じように人形灯籠を組むこともあれば、四角く枠を作って送り絵を描くこともある。
扇ねぶたは明治時代に案出され流行したスタイルで、現在は弘前市を中心に、黒石・平賀・藤崎などに見られる(弘前型の絵柄が広域に伝播)。行列には様々な大きさの扇ねぶたが併存する例が多い。表は鏡絵と呼び全面に武者絵が描かれ、背面は中心部分を四角くくくって美人画を飾り(送り絵)、周囲は「袖」と呼んで別の絵柄が入る(正面ないし背面と絡めることもあれば、絡めないこともある)。扇の台座は、牡丹柄の「開き」と天の川の意の「雲漢」の字が入った「額」で構成され、場に応じて伸縮する。側面には町名・団体名が大書され、下部は雲の柄である。題材名がねぶた本体に示されることは稀で、先行する町名灯籠や背後に続く太鼓の台に入ったり、入らなかったりする。
囃子は締太鼓を長い撥で叩き、笛と鉦を加える。掛け声は地域によって異なるが、同一町内・同一の催しにおいては統一されている場合が多い。ねぶたと囃子は分離しており、一般的にねぶたが先行し、囃子は後ろで囃す(例外:五所川原等)。引き綱はある場合も、無い場合もある。参加者は晒し巻きの上に法被姿が一般的である。
ねぶたが催しに加わることを現地では「出陣」と呼び、例えば弘前のねぶた囃子は出陣時・五所川原は交戦時・青森は凱旋時を象徴するといわれる。【添写真:尾上八幡崎同志会の送り絵『唐美人』(青森県平川市)】
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