青森県南部町 南部まつり
青森県三戸郡南部町は、三戸三社大祭のある三戸町のすぐ北隣の町で、三戸駅はちょうど南部町と三戸町の境にあります。藩政期に東北地方太平洋側に広い領地を持っていた南部氏の発祥の地であり、町に残る霊廟は東北には珍しい桃山文化の華やかな遺産です。
●山車の競演
三戸駅前の通りを会場に夕方から夜にかけて盛り上げるのが「南部まつり」で、山車は2日目の夜7時から「競演」を行います。競演というのは、昼過ぎにスタートした大名行列の最後尾についている4台の山車が、夕暮れの訪れとともにライトアップし、駅前に待機・Uターンして地元に帰っていくまでの30分くらいの状態を言っています。
●大名行列
駅から直線距離を北に30分くらい歩いて広いバイパスに出て、もう少し歩いたところに南部町の役場があり、ここに本格的な本陣を作って町長以下戦国大名の本陣を再現し、「将軍様から参勤交代のお触れが」という小芝居をした後で、揚揚と行列が出発します。出陣のための太鼓が打ち鳴らされ、諏訪神社・大神宮の両神楽(獅子舞)をつれたパレードがバイパスを進んでいきます。山車も当然この役場前広場に4台そろっているわけですから、午後の3時にでも三戸駅に降り立ち、ゆっくり北へ向かって歩いてゆけば、お祭りの一番華やかなところが見られると思います。
「下に下に」の声掛けに始まり、町民総出の大名行列は交通渋滞を防ぐためいったん裏通りに入った後、駅前に続く商店街の入り口、ガソリンスタンドで再びメインストリートへ。お神輿は付かない純粋な時代パレードです。神楽が互いに追い越しあいながら一軒一軒門付けをし、結構気合の入った時代絵巻、腰元やら奥方やらもちゃんと登場します(歩き方が面白い)。
●南部町の山車
続いて山車の巡行。(平成16年の状況)まず【駅前牡丹園】の『花咲か爺さん/ファインディングニモ』、これは人形から何からいかにも自分たちで作ったんだろうという山車、続いて【小波田(こなみだ)】で『南部の殿様春の一日(なんだそりゃ?)』、これはマネキン人形を使った山車です。とはいっても、三戸や八戸で使われるような山車のためのマネキンを使うわけではありません。見返しは南部凧絵の絵柄で行灯の『敦盛』、これは大変面白い。3番目、【大向町内会】はちょっと大型の山車、三戸と同じ上にパタンと起き上がる仕掛けを使って八戸風の構成の『赤壁の戦い』。人形は表裏ともやはりお手製のように見えますが、1番最初に来たものよりは健闘しています。見返しは『千姫牡丹乱舞』でした。最後に、素材は何か分からないのですが、とにかく大きな山車人形で【門前町内会】、私が行ったときは『水戸黄門』でした。ポスターには犬夜叉が載ってます。照明をつけると、有色蛍光灯で結構かっこよく照らしています。見返しはディズニーキャラクターの格好をさせた子供たちを乗せて、『ゆかいな仲間たち』。以上4台、商店街駅付近に近づくころには夕闇が濃くなり、いつの間にかライトアップします。
お囃子は、大向をのぞく3台が三味線の入る優雅なお囃子、でも運行終盤になると大向と同じ南部流のアップテンポなお囃子になります。後者は「あワーッショーイ」の掛け声とともに、前者は「ハアアよいさー」とイントネーションまで二戸に近い感じです。きちんとお花が上がった商店の前では音頭を上げます。ちょくちょく止まりながら動くので、写真は撮りやすいようです。