盛岡秋祭り山車2016
題材自体はありきたりだが、発想はいろいろと新しい。 撮影・音頭収集:山屋賢一(平成28年9月14・15日)
鹿もたじろぐ 切り立つ崖に 勇猛果敢な 武者すがた
先陣争う 武者ただなかに 九郎判官 逆落とし
(当組と演題)
盛岡の山車が採る源平一ノ谷合戦の名場面は2つ、左の義経は昭和50年代・右の馬を担いだ畠山重忠は昭和40年代には組の山車に上がった。ともに後作・地方山車の振興に繋がった秀作である。
作法としての花と趣向としての花とは、染め分ける
仁王擬きに 力みし姿 孰れも見事な 荒事師
指を震わせ 筋隈見せて 見得を競いて 花と咲く
(当組と演題)
松王梅王を並べた車引きは2度目の採題、他に松王丸のみの1体趣向を出したことがある。盛岡山車では従来、実際の舞台と逆配置でこの場面を上げてきたが、今回さ組は舞台通りの配置での再現を試みた。
見返しはさ組の本拠神子田ゆかりの南部の姫で、構図を変えつつ3度目の登場。
灯籠の明かりは電灯でないようにゆらゆらしていた
猛将清正 大虎退治 異国に残せし 武勇伝
眼光鋭く 大虎睨む ひらめく槍先 怯む敵
(当組と虎)
盛岡山車の虎は上半身のみを作ることが多く、大きさもそれほどではなかった。城西組は前年の地方の作を入手・研究の上、平成16年にわ組の山車として『和藤内』を製作、全身作りの大虎を出した。平成22年には改修の上で自組の台にも上げ、今回通算3度目の登場となった。
馬と人物と虎をひとつの舞台に上げるのは至難、虎を走らせずひっくり返したのが本作の妙
花巻流の、囃子は別の車に乗る山車である。大太鼓のみ趣向の前後に据えられ、打ち手は歩きながら叩く。牡丹は紙製、電飾も花巻風に灯一つ一つを立たせている。
年によって完全自前だったり見返しだけ借りたりするこの組だが、当年は表を借りて、見返しは自前の「藤娘」で飾った。
たくみの威徳で みたまも宿る お小姓弥生の 獅子変化
(見返し)秋の調べに さかずき重ね 時を忘れて 舞う猩々
私が初めて見たこの組の山車は、平成3年の『連獅子』である。
従来鏡獅子の上着は紺か黒だったが、この山車では白地を選んで従来に無い華やかさに。膝立ちにして高さを抑え、大きめの人形で迫力を出した。
狙いか偶然か、表裏で紅白が揃った
江戸の暫 言祝ぐ謡い 山車はい組の 男伊達
(見返し)赤白紅の 盛りの花に 戯れ遊ぶ 獅子の精
(当組と演題)
い組の暫といえば大太刀を両手に構えるこのスタイルが定番だが、昭和30年代には扇を高く構えた元禄見得も上がっている。
見返しの『鏡獅子』も昭和30年代から登場、現状の如く暫縛りになるのは昭和50年代。
牡丹囲いをやめ、本来の飾り方に
怒りの筋隈 闇夜に映えて 歌舞伎名代の 紅流し
(見返し)将棋の駒に カミナリ太鼓 の組江戸での 纏振り
橋を立体的に奥行きを付けて作ったのと、足元の波に物語り通りの赤い流れを表現したのが斬新。紅流しを鋲打ちの赤肌着姿で演じる例は現行の舞台では稀だが、役者絵などではたびたび目にする。
(音頭)父の祖国を再興すべく 心は躍る和藤内/義理と情けに錦祥女が 赤き心の紅流す
西塔鬼若 大魚をいとめ 民の悩みを 晴らすなり
(見返し)篤き情けの 静の想い 燃えてわびしき 夢のあと
この子供は長じて弁慶となるので、山車ではどっしりとした体躯におっとりとした赤ら顔とした。題材に合わせて改めて顔を作るのは珍しい。
黒い鯉は目立たないので、夜は滝のほうを照らしてシルエットに。
三番組『五条大橋』の見返しに出た懐かしの着物に初音の鼓を添えて
9月末からはいわて国体歓迎のため、見返しに「山神」を据え盛岡駅前に登場(9/29〜10/11)。
春季の祭典であるために、時期が合えば山車の桜と実際の桜が交差することもある。当年はその貴重な一例となった。
静御前はこのように背景が無い方が映え、ナナメに入った桜の色なども美しく見える。
「豪傑」「無双の 鎌倉武士」と 朝比奈三郎 名を残す
和田の合戦 朝比奈奮起 怪力見せたる 門やぶり
(当組と演題)
同じ構図は戦後に2回、一番組で出している。うち2作目の昭和59年の作は心棒を斜めに据えた躍動感溢れる仕上がりで、当時の人形師の秀逸の作として長く語られた。
また戦前期は、歌舞伎の朝比奈を個性的に採った山車が馬町から出ている。
平成以降では稀な大人形となった
おおむね自主製作・新出趣向が見られる祭りではあるが、当年は前年盛岡の朝比奈人形・背景を使い、それでも鎧や体勢などは変えて多少の変化を演出した。
岩手県盛岡市 盛岡八幡宮祭典山車
(管理人連絡先:sutekinaomaturi@outlook.com)
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