青森県つがる市 木造ねぷた祭り

 

 

 津軽半島で最も早く行われるという木造ねぶたですが、駅前の看板などを見てみると、昔は青森弘前とほぼ同時期に行われていたようで、それでも3日間開催というスタイルは昔からなようです。

 人形ねぶたが主ですが、青森より小さいという感じが余りしないのは、街の雰囲気のよさからでしょうか。アルミサッシとガラスで作った「こみせ」が町のいたるところに見られ、沿道に何重にも列を作る観客の中を掻き分けなくともこみせから、ガラス越しにねぶたの姿を楽しむことができます。

木造ねぷた『暫』

 駅から歩いて10分くらいのところに大きな十字路があって、ここで各ねぶたのパフォーマンスが行われます。スタイルとしては、駅前通のロータリーで佳境を迎える五所川原と似ています。木造の場合は、とにかくねぶたを高速回転させながら周囲で曳き子が跳ね回る、というパフォーマンスが多く、木造独特の喧嘩ばやしはその最佳境を示すリズムです。喧嘩ばやしはわりと構成があっさりしていてはじめはピンと来ないのですが、木造の人々がこの囃子をどのように位置づけているかがわかってくると、非常に胸躍る魅力的なリズムに聞こえてきます。それぞれの地域に根付いた昔ながらのお祭りというのは、こういうところが良いのです。木造ねぶたの囃子は大まかに4種類で、リズムの早い弘前囃子と、ほぼそのままの青森囃子、小屋納めのときに囃す五所川原→乱打、と喧嘩ばやしです。掛け声は、主に弘前囃子に乗せて「やれやれ、やれやあ」と。青森の囃子ははやしても「らっせらっせ」とは唱えません。

 やはり曳き子が一番盛り上がるのは喧嘩ばやしをたたいているときで、合同運行を終えると辻辻でねぶたが向かい合わせになり、互いに喧嘩ばやしを囃して盛り上がります。続々と辻に集まってくるねぶた、中から人知れず帰っていくねぶた…。最終日の運行はパレード収束が8時半ごろで、そのあとも10時頃まであちらこちらでねぶた囃子がこだまします。

木造ねぷた『本能寺の変』

 木造ねぶたの意匠は、主には青森ねぶたに近似します。青森で数年前に作られた名作が参照され、これをややスタイルを縮小して舞台に上げている雰囲気です。背面にはしかし、弘前や黒石と同じように送り絵を描いています。送り絵の左右、袖の部分にはレリーフのような飾りをつけますが、送り絵をはずしているところがひとつも無い、というのは大変特徴的でした。また、単に袖にとどまらない造形を行っているというのも、共通した特徴でした。高覧は無く、牡丹を描いた板で四方を囲い、団体によっては台車の左右に梯子をかけて小太鼓を数基設置し、これをたたきながら運行するところもあります。バシンバシンという聞き慣れた太鼓の音ではなく、トコトコトコトコ囃子が聞こえたのでなんだろうと思って見てみると、この左右の太鼓のみで囃している団体のねぶたでした。昔は青森にもこのような形式が伝わっていたということですが、いまは木造独特の貴重な形態だそうです。

 巷で云われている「囃し言葉が無い」とか「はねとがいない」とか「青森ねぶたの縮小」というのは、木造のねぶたをさも規模の小さいもののように感じさせてしまいますが、観光化著しい著名なねぶた行事ばかりを尋ねていた私は、木造でやっと「血の通ったねぶた」に出会えたような気がします。ねぶたは他からの観光客が楽しむ以上に、やはり地元の人達によって大いに楽しまれるべきだ。そんな基本的なことを喧嘩ばやしを背にしてやっと感じた、津軽3年目の夏でした。
(平成17年見物)



参考:平成17年出陣ねぶた演題

●本能寺の変(寝巻き姿の信長と馬上の明智光秀)
●暫(素朴な表情で元禄見得、送り絵は藤娘)
●本能寺(寝巻き姿で陣幕をつかむざんばら髪の一体)
●国引き(青森ねぶた1972年の名作再現)
●雷神(青森ねぶた平成3年大賞作品再現)
●雲谷の頓慶(大賞作品、田村麻呂遠征に抵抗した津軽の勇士)
●赤不動(炎を背にした不動明王、送り絵に大黒様)
●扇ねぶた(三国志の趙雲の扇ねぶた)
●扇ねぶた(魑魅魍魎なんとかかんとか、前衛劇団による蝋燭光源担ぎねぶた)



★木造ねぷたホームページ
★津軽祭り囃子サイト

地元の方から上記内容について以下の訂正をいただきました


●木造ねぶたではなく木造「ねぷた」である。
●囃子の種類は6種類(行進、停止太鼓通称「けんか囃子」、戻り、有楽町のみが行う停止してねぶたを回転させるときに使う囃子、勝ち鬨、ナヌカビ囃子「ちゃんちゃんれんこう」)、このほかに小屋納めの囃子がある。青森風、五所川原風のものは外の地域からの応援部隊によるもの、伝統的な木造の囃子ではない。
●昔は七日日まであり、最後の日は昼の運行、それもねぶたではなく京都の祇園祭りのような山車で、囃子も祇園祭りのような「ヤマ」という囃子があった。

ご協力に感謝いたします


旅路の見所

※ 病院の玄関に飾ってある桶に紙を張った円形の吊ねぶた
※ 巨大な亀ヶ岡土偶を模したJR五能線木造駅
(アクセスは弘前市よりJR五能線木造駅へ)



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